この頃などは、夢の最中、唐突に、バクッと、気を失ったり、眠ってしまったり、人事不省となっていたりする。
夢の中で、記憶が途切れた時間帯(実際は、夢の法則に従い、0点1秒あるかないか、なのだろうか)があるというのは、甚だ不安だ。
それでなくとも、どこか覚束ない、捉えどころのない夢の王国で、王国の主は、夢を見ている私であるはずなのに、主が感知できぬ領分が存在してしまうというのは、心許なく、胸苦しささえ感じられる。
多分、見ている夢の内容にもよるのだろう。この不安な感じは。
自宅のキッチンシンクで洗い物をしていて、ふと気がつくと、出現している、6、7人の、女性達。
モネの描く女性の装束のタッチで、紺色を基調とした色合いで、彼女達は、優しげに、山脈のように、連なる、心ならずも切り立ってしまった岩岩のように、私の周りを、取り囲んで立っている。
私よか、一回りは若い。言葉は無く、けれど、彼女らは、とても、慈愛と、諦観に充ちている。
私には、分かる。
彼女らは、少なくとも、一度は、心療内科医に投薬されたことがある。今も、ゆるゆるとしたかたちで、通院しているかも知れない。けれど、そこに、嵌まり込んでもいない。以前貰ったクスリの粒を、御守りのように、ポーチの片隅に仕舞っている。
そして、彼女らは、そろそろと、私に、その、めいめいの、エスニックだったり、フェルト製だったり、ビーズ刺繍だったり、裂織風だったり、のポーチから、錠剤を、差し出した。
のだが、それらの心療内科的錠剤は、彼女らの掌の上で、小さな金属のハートに変じた。
その瞬間、私は気を失い、夢の中、意識が戻った時、古い温泉旅館の中くらいの広さの和室で、綾瀬はるかさんに、、過去の過ちを指摘されていたのだった。