「カビクシ カビガム」という響きは、ヒンディー語で「喜びの時 悲しみの時」という意味あいなのですが、数年前に、日本の極々一部で公開された、ボリウッドムービーのタイトルでもあります。
「インディアンファミリー 家族の四季」という邦題で、DVDも出ていますが、「インディアンファミリー」というカタカナを目にした時、私などは、なんだか、インドのマフィア家族の年代記映画かと思ってしまいました。
ところで、菅直人さんが、総理大臣であった頃、「雨の日に助けてくれる友人は、真の友人だと言いますが…」
と、発言しておられました。
脳学者池谷裕二さんの「脳には妙なクセがある」のなかに、シャーデンフロイデという言葉についての記述があります。人の不幸を喜ぶ感情の事だそうです。
汚らわしい、忌み嫌うべき感情は、しかし、脳機能のなかにしっかりと組み込まれ、快感を生み出す脳部位が、人の不幸を見聞きしたとたん、活動を始めてしまうと。
雨の日が続き、傘をさすことが当たり前の日々が続いた後で、相手の頭上の空が澄み渡ってくる頃、善意で差し出したつもりの傘は、そろそろ修繕が要るくらい、綻びてるかもしれません。
互いの空が、どしゃ降りから、晴天に変わっても、喜びを分かち合える関係もまた、素晴らしく、むしろ、得難いように感じます。
ヒト本来の、喜ばしくない脳機能に対峙できるもの、って、何なのかな。
或る人は、宗教、と答えるのだろうな。
お互いのボロ傘を放り投げ、青空の下、色とりどりの草花のうえを、ころころ転がり遊ぶ、という状態は、既に、此の世ではないのかなあ。
なのかなあ。