「あと、ページによって、エリザ姫のお顔立ちが違い、子供心に、困ったものです。でも、どんなお顔をしているのかということより、場面場面の仕草、風情、表情を際立たせることに重きを置いたのでは、って小学校一年生のわたくしは、頑張って解釈していました。」
「ふうん。ふんっ、ヴィジュアル的には、所詮昭和四十年代の日本人の挿絵画家の産物ですから、わたしは。」
「そうそう。他の登場人物のコスチュームから、背景まで、古今東西、あっ、東はやや除く、ですね。デイズニーアニメから、中世の鎖帷子風兵士、父王のヘンリー八世さん擬き、天照大御神みたいな女神までが、一堂に会する、スゴイ挿絵でした。十一人の王子は、わたくしにとって、当時隆盛を極めようとしていた、グループサウンズを思わせました。でも、その節操がない混沌は、むしろわたくしにとってはわかり易さ、親しみ、憧れ、として昇華し、この通り、一生ものになりました。」
「はあ。そうですか。それは、まあ、良かったわね。」
「あ、いえ、わたくし、カウンセリング小屋のオーナーとしての立場を、忘れかけてしまいました。
目の前に現れた、あなた、エリザ姫は、こんなにも、綺麗だし。や、本当に。
わたくしも結構色白ですが、黄色人種ゆえ、豆乳に一滴の血、ですが、貴女は、牛乳に一滴の血。白い肌、の意味が違う」
「ロシア人の基準持ち出してくれなくて結構よ。私はエカテリーナでも、リュミドラでも、アナスタシアでもない。アンデルセンはデンマークの生まれだったけれど、生涯独身。ところで、あなたの肌色の素の豆乳は、遺伝子組み換え大豆の色?」
「はあ、スーパーマーケットで豆乳買う時は、遺伝子組み換えって書いてないの、選んでるけれど、消費者は、確認する術、ないんだよね。」
「このネトル茶、効用は、何?」
「血液浄化、に尽きます、とわたくしは言いたい。でも、イラクサのt花言葉は、冷酷。」
「それよ、そこよ、冷酷、という言葉。」