ふみちゃこ部屋



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余は如何にしてウルトラマンティガになりし乎、などの事

く、苦しい。
何だか音のない、スモーキーな空間で、何故だか私は、ウルトラマンティガになっていて、よく似た2頭(2体?2匹?)の怪獣(ウルトラ怪獣?)に、両側から攻撃され、懸命に闘っていた。
その絶望的なバトルは、永遠に続くかに思われ、ウルトラマンティガとしての私は、本当に身動きが取れず、息をすることすら辛くなり、そうしているうちに、目が覚めた。

それは、幼稚園の年長年少さんの長男と二男に、両脇をかためられ、腕まくら状態で見た夢だったのだが、悪夢の領域には、ギリギリのところで属さないのは、夢のなかの闘うティガである、銀色と赤と紫青の私が、今日的な頭身のあるヒーローになっている自分に、胸の底で、満足していたからだろか・・・。
ともかく、自分がウルトラの母じゃなくて、ティガで、たいそう気分が良かった。

・・・おさな児の時代というのはまた、眠りにつくその瞬間まで、稜にいるおとなをドキドキはらはらさせてくれるものなのだが、もう半ば夢の国へ辿り着いたらしい彼らを見遣り、さて、あてくしも、眠れるっ、と明かりを消した瞬間、まだ未就園児だった二男が、私に話しかけるのであった。
「おかーさん、おかーさん、◯◯だよ」(◯◯は、二男の名前)
「・・・へ?」
「おかーさん、ねえ、しりとり、しよう」
え? 何が悲しゅうて、こげな寝入り端に、し、しりとり、とな?・・・でも、この幼心をいきなり踏み躙るような態度を取ることは、何だか憚られる気がする・・・ちょっとは応えつつ、諭してゆこう・・・。
「・・・へ、は、はい、いいよ。どーぞ、どーぞ」
朦朧としながら応えた私に、二男は、素早く反応し、すっくと、ベッドの上に立ちあがった。
「天上天下唯我独尊」
まさに、こう言ったとしても不思議ではない、迷いのない、思い切りの良い、見事な立ちあがり振りだった。
しかし、釈尊にあらずな二男は、こう言ったのである。
「さて、それでは問題です。どんな猿でしょうか?」
「・・・え・・・は・・・?」

またある真夏の午後、スーパーまで、二男と手を繋いで歩いていたのだが、彼は突然、片手を額のあたりに持っていき、
「まずしいー、まずしいー」
と、幼児なりのMAX顰めっつらにて、繰り返し、道行く擦れ違う人びとの笑いを誘っていた。
「眩しいー、眩しいー」
二男は、そう訴えていたらしいのだけれど・・・。
や、今思うに、引越したばかりで、家賃が負担だったりで、幼いとはいえ、二男の“魂の叫び”の真意には、計り知れない部分もあった気がするのだが・・・。

長男にも、幼年時代の、笑える武勇伝がある。
時代は更に少し遡るのだけれど、引越して間もなく、という点では、同じなのだった。
二男は、まだ此の世に出現していない。正確には、胎児というかたちで、私の体の内側にいた。
とことこ、まだ見知らぬ街を、未就園児の長男とともに、散歩していたら、モスバーガーを見つけたのだった。
「ポテトの L と、バニラシェイク」
の、ようなものを、注文し、2人掛けのテーブルに、向かい合って腰掛け、いただいていた。

決められた開店の日に、なりふり構わず、是が非でも間に合わせなければならなかったのか、取り敢えず、店舗正面のガラスに、モスバーガーの、“M”の字が、大きく貼られている以外は、以前何かのお店屋さんで、ジリ貧状態が続いた後に閉店したのです、と物語っているような内装の名残や空気感が漂っていたけれど、何であれ、新しい土地での発見、という意味で、若かった私は、それで充分楽しかったのである。
長男だって、嬉しそうに、キョロキョロしてる。他のお客さん達も、まったり、幸せそうに見えていた。

・・・しかし、その、緩い、楽しい時間は、すぐに、お終い、とされたのだった。

「チーズバーガー、コーヒー、3つづつ、頼むわ」
店の真ん前に停めた黒塗りの車から降りてきた、「西部警察」の大門さんのような髪型と眼鏡の男性が、カウンターの青年に言った。
既にその時点で、店内の空気は、変化の兆しを顕にしていたのだが。
「出来上がりましたら、お車までお持ちいたしますか?」
カウンターの青年は、頑張ってにこやかに問うたのだが。
「いや、此処で待たせて貰うわ」
大門さんのようなヘアースタイルとサングラスの男が、カウンターの前の長椅子に大股開きで腰掛け、そう答えた瞬間から、店内の空気が、凍りついたことは言うまでもない。

私も、もう、どきどき、緊張状態となった。
胎教に、いや、それ以前に、切迫流産の気のある自分は、お腹の子を守るためにも、この、なんだか矢鱈張り詰めてしまった場所から、逃れ出なくては。
しかし、この場所から外へ出るには、大門擬き男の前を通過しなくてはならぬ。困った。

その時だった。
幼き我が長男が、椅子から滑り降り、よちよちと、歩き始めた。
向かう先は、カウンターと、大門擬き氏の方。
長男は、正面のガラスに貼られた、モスバーガーの “M” の字を見上げ、指差し、
「マクドナルド、って、書いてる」
と、言い放った。

「ブッ」
強面の大門擬きさんが、真っ先に、吹き出し、笑った。

そして、店内の空気が、ほぐれてしまったのだった。
小さな長男は、キョトン顏のままだった。
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by chaiyachaiya | 2014-01-24 22:36 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

消滅したヒョウ柄襟外套の遠い思い出

「ほれ、◯◯子なんか、大学6年生みたいな顔してなあ」
小学生の頃の、担任の先生がお休みのとある日、代わりに朝のホームルームにやってきた男の先生(若き文学徒)が、私を見て、可笑しそうに言った。

その先生の言葉からもわかるように、私は、臈たけた美しさで際立つ存在だった(えっ⁉︎。)、や、要するに、小学5年で、達観(と、担任の先生は記していた)し、諦めて、もうどうでもいいかもしれないような、老けた顔つきをしていた。
本来の老け顔を背景に、魂の表情筋を駆使し、暗い心象風景画とする、さあ、見てくれ、のような、私という女子どもの主張がなされていたんだろう。
そんな顔つきの子どもは、決して、本当は、達観の境地に至っているはずもなく、日々勝手に傷ついて、砦として羽織ったマントの、トラとウマの柄の陰翳を深めていっていたりした。

実際、18歳の頃、無類の脂性の自分の肌に合う、さっぱりタイプの化粧水を求めに行っても、カウンセリング化粧品の売り場のお姉さんからは、乾燥や小皺に特化したスクワランオイル(鮫のアブラっ)入りのゴージャスなボトルの美容液を、取り敢えずすすめられ、手袋くらいは、可愛い色のが欲しい、と願っても、素材の良いチャコールグレーやダークブラウンのそれを、あてがわれてしまうのだった。(意思を貫けぬ、私の気の弱さも手伝ってだけれど)
「お客様でしたら、こちらの方が、シックに決まりますよ」

10歳ほど年上の女性に、擦れ違いさま、深々と、緊張感と敬意をともなった礼をされたり、シチュエーションを問わずの年長者扱いはいつ果てることなく続き、疲れたけれど、いつもビクビクしながら生きているこの本人との激しいギャップに、思わず胸のうちで笑う日も増え、いつしか終いに、むしろ他人事のように、楽しんでいた気もする。

そんな私であったけれど、第2子誕生の後あたりには、経産婦となったことによる、何らかの作用もあったのか、実年齢と見た目の開きが、埋まってきていた。
そして私は、ウキウキと、遂に、ママさんコートというかたちで、真っ赤な外套を手に入れたのだった。
背中の真ん中のファスナーで、ふたつに切り離すことが出来、そこに同布をセットして、子どもをおんぶする。(最も、今では、子どもをおんぶすることを想定したママコート自体が、珍しくなっているように感じるのだが、どうなのだろう・・・)
真っ赤、といっても、朱赤ではなく、少しだけチェリーに寄った、上質な非加熱ルビーみたいな赤色。
襟と袖には、取り外し可能な、グレーの小さなヒョウ柄のフェイクファーがついていた。
ヒョウ柄の領域は、でもやっぱり、最小限に留めた方が上品だべがな、と、袖口のヒョウ柄ファーは外し、箪笥の小物の段にしまったが、襟は、首もとにヒョウ柄温存のまま、鏡の前で、ひとりニヒニヒ笑った。
もしかしたら、まだ幼い長男が、「おか〜たん」と、鏡面の足許に映り現れていたかもしれないけれど、何しろ、元老け顔女隊長のかーさんは、赤いコート、しかもヒョウ柄の襟付き、を着ている自分が嬉しくて、おんぶの時代が終わった曉には、ママコート形態用の同布を放ったきり、ヒールのあるブーツで、ちゃらりちゃらり街へ出て行く自らの姿を想い、母乳が漏れて、大切なコートが万が一、酸化した母性のようなにおいを発することのないように、そろりそろり、その赤の、ヒョウ柄付きから、腕を抜き、注意深くクローゼットに掛けたりしていたのだった。

しかし、おお、もしかしたら、神は見ていた。
有頂天はいかん。母の時間を、きっちり、生きよ。

引越しの際、それは春だったから、もう、フェイクファー付きの冬の外套を、着てはいなかった。
ダンボールなどではなく、透明な衣装ケースに、香りの柔らかな防虫剤とともに、外出の時、数回身に着けただけのそれは、きちんと畳んで、引越し屋さんのコンテナに、積んでもらったはずなんだけれど・・・。
子らを追いかけていて、ちゃんと見ていなかったかな・・・。

引越し先で解いた荷物の中に、その透明な衣装ケースは、なかった。
新しい場所に辿り着けたのは、ヒョウ柄の袖口の輪っか、ふたつだけ。

誰にも、話す気にはならなかった。
誰に抗議しても、問うてみても、仕方のないことのように感じた。

本当に、決定的に、これが、ドンピシャリの、事柄、人、物、などのすべてにおける・・・は、だって、私の手指の隙間から、どうしたって、擦りぬけていく、損なわれていく、のだから・・・。

などと諦観に支配されたあの瞬間、私の顔は、元老け顔番長、いや老け顔隊長の面目躍如な顔つきになっていたに違いない。
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by chaiyachaiya | 2014-01-21 14:29 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(6)

シーモンキーの脱皮した衣のような、私の「さん」。

「私は、発泡酒(この場合はスパークリングワインではなく、ビールテイスト飲料)や、酎ハイは飲みません。それらは、地方の貧乏な人達が、TVや新聞を見ながら飲むものだから」
と、数年前、このように言い放たれても、ただ顔面表情筋及び体中を、強ばらせることしか出来なかった私がいた。
言い放ったのは、都心の一等地の広いマンションに住む、外資系勤務の友人である。
有能且つ努力家の彼女が言うと、キツい文言ではあるが、嫌味がない。

今夜私は、かのジムビーム(ディカプリオがCMに出ていたバーボンの・・・)を買収したサントリーの コロリ、いや違う、カロリ という名の後味の悪い甘味料(その分カロリーが低い)が加えられた、缶入りカクテルシリーズの、ホワイトフルーツスペシャル、という酎ハイのようなものを、イタリア製のグラスで飲んでいる。
高価ではなかったが、自然に出来た透明な氷の塊を、薄くなる迄抉ったような形状に魅かれて手にして以来、出番の多いコップだ。
一番美しく見えるのは、ただの水を注いだ時で、水道水すら、美味しく感じてしまう。

そのグラスに、今夜は、洋梨・白ぶどう・アップルmixカクテル ホワイトフルーツスペシャル〜つぶつぶ食感〜と記されたものが注がれていて、なるほど、ちょっと赤みを帯びたグレープフルーツの粒が、炭酸に踊っている。
そのピンクグレープフルーツの粒達が、思いのほか大量に犇き舞っているのを見ていたら、「シーモンキー」のことを、思い出してしまった。

父が、トーキョーのお土産に買ってきてくれた「シーモンキー デラックスセット」(スペシャルセット ではなく、デラックス というのが、時代を感じさせる気がするのだが、朧げな記憶・・・)には、シーモンキー達がながらえる為の、決定的な何かが欠如していた。・・・な、気がした。
脱皮した衣を吸い取る、水槽の底お掃除スポイト?・・・が、入っていない?
いや、シーモンキー(ホウネンエビモドキ)というのは、脱皮した自らの皮をも喰らう生物なはずだったのだが、うちのシーモンキー用のウオーターパレス(?)は、半ば脱皮した衣を体からきり離すことが出来ず、透明なドラッグクイーンのような姿となった彼らで溢れ、子どもだった私は、見ているのが辛かった。

苦しそうなシーモンキーを見続けるのが辛い子どもは、シーモンキーのシーは、海、だし、川は海に繋がっているし、という理由で、近所の川面の上で、小さな軽い、硝子ではない水槽(デラックスセットの)を、ひっくり返したのだった。

ところで、私は、文中で、フレディ・マーキュリーやヴィルヘルム・フルトベングラーには、「さん」付けはしないけれど、日本人の名前の後ろには、「さん」を、つい記してしまう。
呼び捨て、如何なものか、などと、要らないことを考える。
評論家気取りみたいだと思われないだろうか。
や、しかし、「さん」付けも、取りようによっては、カジュアルで、妙に、なんか、友達っぽいんじゃないのか。
多分これは、悩んだり迷ったりに値する事柄ではなく、ばしっと、「さん」抜きをすれば良いだけの話なのだろう。

踊るグレープフルーツの粒に、シーモンキーを思い出し、成長し、脱皮した薄皮を纏わりつかせていた切ない姿が浮かび、そうしたら、次に、私が、これ迄ブログのなかで、日本人の作家などの名前の後ろに記してきた「さん」が、半透明で要らない、そして水の抵抗はそれなりに発生させる無駄なフリルのように思えてきた。

・・・思い出した。
二男は幼い頃、トーキョービューティセンター TBCのTVコマーシャルに、ナオミ・キャンベルが出る度、
「あ、エディ・マーフィーさん」
と、呟いていたことを・・・。

二男は、上記の例だけに留まらず、古今東西 老若男女、ヒューマンビーイングに属する者全ての名前の最後に、「さん」を付けて話していた。

やわらかな、幼いなりの、幼いからこその他者への敬意を、私は感じたのだった。

そのことと、私の「さん」付けには、多分因果関係はないけれども・・・。

「さん」外しに、勇気を必要とする私は、誰も振り向かぬ世界の片隅で、今夜もちまちまと、なにか言い募るのであった。
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by chaiyachaiya | 2014-01-17 23:54 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(4)


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