ふみちゃこ部屋



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アビシニアンが家に来た頃

「アビシニアンが家に来た頃」というタイトル、好きなインド系アメリカ人の作家ジュンパ・ラヒリの短編「ピルザダさんが食事に来た頃」と、私のなかで、韻を踏んでいて、なんだかもう、凄い短編でもものしたような気分です。

今日は、ターヘル・ベン=ジェルーンの「砂の子供」が、届きました。彼は、フランス語で書くモロッコ人の作家です。
アビシニアンは、リビアのアビシニア地方原産と云われています。
部屋の空気における、アフリカ成分が、ちょっとだけ濃密になっているように感じます。

十年前の冬の、とても寒い日のことです。アビシニアンが家にやって来たその瞬間、部屋のなかには、小さな野性の領分が生まれました。
威嚇し、怯え、甘え、ねだり、眠り、引き裂く、齧りつく。
思いきってペットショップから連れてきた猫が、まさかこんなに気が荒くてバイオレンスくんだなんて、予測の外の事態でした。飼い主家族の皮膚は、アビシニアンの爪先による、紅い縦縞で、日々彩られていくばかりです。
お気に入りの、インド風の細かなペイズリー柄のルームウエアを着たまま、ソファでうとうとしていると、アビシニアンが、容赦なく戦いを挑んでくるので、おちおちうたた寝も出来ません。柄物の服は、クローゼットに封印としました。
服の柄が、私の些細な動きに合わせて揺れるたび、アビシニアンのハンターとしての本能が目覚めてしまうのです。
猫じゃらしで遊んでも、すぐにターゲットを、腕の付け根に絞って、高く飛んで攻撃して来ます。
「ぼえええ~」
と、私の方が、野の獣の遠吠えのように、泣いてしまった日もありました。

そんなアビでしたが、にんげんの都合(法事)により、ペットショップに預けられ、一夜を過ごし家に戻ったその時から、共に暮らす人科目の心身の状態をうかがい、「こやつ、落ち込んでいるな」と判断するやいなや、肉球タッチに続いて、落ち込みびとの耳の穴に、鼻先をくいくい突っ込み、鼻息を吹きかけてくる、別人格、いえ、別猫格、となったのです。

アビは、何を、どんなふうに悟って、ペットショップから帰ってきたのでしょうか・・・。
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by chaiyachaiya | 2012-11-30 18:56 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

ハイテンションパンツと猫

いわゆる、ケミカルパンツ、と呼ばれるズボンが出てきた時、意味を理解するまでに、けっこう時間がかかった私なのですが。
あのう、ケミカルパンツ、って、化学的な素材を使ったズボン、ということでいいのですよね。

その「ケミカルパンツ」発見から、幾年かの時を経て、私はさらに、ある日の昼下り、通販の広告で、「ハイテンションパンツ」という言葉と、出逢ってしまったのです。
瞬間、私の魂は、行ったことのないリオのカーニバルの喧騒の只中に飛んでいました。
いえ、これはまだ、祭り本番前のリハーサルの段階のようです。
「このパンツはな、履くだけで、わしら益々、めっちゃハイテンションになるんやで。これ履いて踊り続けたら、わしらのチーム、優勝間違いなしやで」
「や~、ハイテンションパンツて、ええもん見つけたなあ。はよ手配して、チーム全員に、履かせなな」
何故か関西弁で、ド派手なカーニバルコスチュームのチームリーダーと参謀が、紙コップに入ったビールを飲み、サンバのリズムに体を揺らしながら、こんな会話をし、勝ったも同然な笑みを浮かべあっています。

あ、いえ、妄想は、もうそうろそろ、止めて、(おっと、あたりが急に冷えてきましたね)気になるハイテンションパンツの事なのですが、そのカタログには、〔ハイテンション素材使用〕と記されています。い、一体、どういうモノなのだ。ハイテンション素材とは。私は頭を抱えかけました。それから、その横に、漫画のフキダシのような、[驚くほど のび~る!のび~る! で スタイリッシュに楽々!]という文字を発見。誌面には、概ね剥ぎ終えようとしているイカの皮のごとくに伸びた、ズボンの生地の写真が、載っています。

「わたし、猫嫌いなの。だって、猫って、本体と皮が、いくらでもずれる事、出来るでしょう。あれって、気持ち悪いことよね」
と、猫が苦手な友人が言っていましたが。

そうか。わかったぞ。猫らも、或る意味、ハイテンション素材なのだな。
びろ~んと伸びて、スタイリッシュ(?)で、楽々お気楽、というわけですもの。

でも、この頃、寒くなってきたら、猫らのスーパーストレッチ・ハイテンション状態、あまり見てないなあ。
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by chaiyachaiya | 2012-11-29 18:22 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

ねこバレエダンサー? ルー

親方猫アビは、昔ながらの劇場の、賑やかなステージの下、両腕両脚を踏ん張り、回り舞台を操作する剛力な職人さんのように、ドアレバーを体ごと押し倒しながら、ドアを開ける。

ジュヒーは、背伸びをしても、ドアレバーに前脚が届かない。だから、カシャカシャ、カシャカシャ、前脚の爪でドアを掻き鳴らす。
カシャカシャの努力が実って、いつの日か、そのコンクパールのような肉球で、ドアレバーに触れる瞬間が来ると信じているのか、思いきり、高く伸びている。
全身に、ふあふあのチュチュを纏った、舞台見習いの女の子が、役割りを果たすために、舞台の袖に出ようとして叶わず、困っているみたい。

ルーは、左右の前脚で、両側から抱えこみ、ドアレバーに触れ、バレエの一コマを演じているように、回りながら、ドアを開ける。

今宵、ルーは、舞台の主役。パウダーグレーの装束は、スポットライトを浴びると、碧紫に輝く。
けれど、ルーの所作、ステージアクトは、頼りなげなげで、王子様というより、きょとん顔のいたいけなお姫様。ソリストじゃなくて、とぼけたプリマドンナ。ドアレバーは、ルー姫をリードする恋人の腕。

くるくる、くるくる。真面目な顔で、今日も、ルーは、回転してる。

そんなルーの姿を見る度、私の頭のなかでは、バレエ「白鳥の湖」の、あのドラマチックな音楽が、大音響で、鳴り響いてしまう。そして、にひにひ、笑わずにはいられなくなる。

ルー、ありがとう。
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by chaiyachaiya | 2012-11-27 12:34 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

網の中のマグロたちと神様ねこ

気づいていないと思うんだけれど

既にもう 網の中 捕えられている マグロたち

充分過ぎるほど 肥えた マグロである 私

マグロたちは 愛が足りないともがき 喚き

それぞれ 暴れてみせる

他者を引き裂くための 鰭の先だけに 滋養が満ち

尖っているから

狭い網の内部で 骨まで 引き裂きあってるではないか

マグロたちの赤身の肉 まだ一口大じゃないけど

神様ねこがやってきて

ペロリ 平らげてくれると いい
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by chaiyachaiya | 2012-11-26 22:04 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

ねこ気功師のジュヒー

その夜、私は、ベッドに入ってからも止まぬ、あまりの頭痛に叫び声をあげていました。
「頭が痛いっ」って、言葉にしたわけではありません。
いえ、「アタマガイタイ」と発声したところで、猫のジュヒーに、理解出来るはずはないと思うのですが。

いつも私の胸のうえで踏み踏み、しっかり私を寝かせつけたと確認してから、寝室の背の高いクローゼットにジャンプし、定位置で眠りにはいるジュヒーが、その夜は、叫ぶ私の頸の辺りで、踏み踏みを開始しました。
本来なら、ちょっとテーブルから小物が落下した物音を聞いただけで、プチパニックな事態に陥り、ピューっと、部屋を駆け逃げていくジュヒーなので、私は、驚きました。
「叫ぶお母さん擬きなんか、気持ち悪っ、知~らないっ」
という扱いを受けるかのしれないな、と、ジュヒーをみくびっていたのです。
けれど、彼女は、踏み踏みの後、私の頭や頸に、すりんぴたん、ほわっ、と横顔や顎をくっつけてきます。
その感触は強過ぎず、余程の猫アレルギーでなければ誰もが、うっとり和んでしまうこと間違いない、心地良さでした。
20分ほど、ジュヒーは、繰り返していたようです。

私が、少しウトウトし始めた時は、まだ踏み踏みしていたように思うのですが、やがて、いつもの場所で、ジュヒーも眠りについていたのでしょう。

小一時間ほど経たあたりでしょうか、またしてもの、剣山をザクザク刺されるような頭の痛みに、「ううう」と、唸りはじめた私。

すぐにジュヒーは、棚からベッドに降り、苦しむ私の顔の、ごく側までやって来ました。
そして、再びの、ふみふみ、すりんぴたん、ほわっ。ふみふみ、すりんぴたん、ほわっ。

心のなかで、激しい痛みとジュヒーへの感謝の気持ちが、混じりあい、私は、ただ、子供のように声をあげて泣き続けました。そして、今度は、いつのまにか、朝まで眠ることが出来ました。

看護師さん、マッサージ師さん、というより、猫の気功師さん、という言葉を使いたくなる、不思議な猫セラピーの時間でした。

ジュヒー、ありがとう。
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by chaiyachaiya | 2012-11-25 19:54 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

猫に出来て 人間に出来ない事

品種と国境を越えて、うちの猫らは、何とかやっています。
多頭飼いは難しい、多品種とはほぼ不可能、と猫本に記されているアビシニアンですら、ロシアンブルー、チンチラペルシャらと、小競り合いはありますが、狭いお家で、共生しています。
や、違品種&多頭飼いストレスの為に、うちのアビシニアンは過剰な毛繕いを繰り返し、お腹の毛が、すっかり剥げてしまってはいます。
それでも、アビは、この家の猫部門のリーダーを自覚し、他の猫らを統制し、誇り高く、日々を過ごしています。
ルーもジュヒーも、それぞれの役まわりを、根底で理解しているらしく、互いに、相手へ敬意をはらうことを厭いません。
さらに、いつもいつも、遺伝子構造の違う、人科目の私の心のあり様を、気に掛けてくれています。
究極、猫達それぞれ、自らが過ごし易い環境整備を、絶えず行なっているだけだとしても、それはそれで、尊い態度だと感じます。

けれど、人間の場合、ことに、人種、国家、宗教、とくると、殆ど絶望的、というのが本当のところじゃないでしょうか。

違う大陸、異なる肌の色、宗教、の人々と接する機会を持ち、結果、私は、もはや、白旗を掲げ、冬眠に入りたい気分です。

それらのフェンスを無きものとし、何があろうとあくまでも、愛をもって総てに対することを貫ける方は、美しき特異体質なのかも、と考えてしまう私がいます。

降参であります。
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by chaiyachaiya | 2012-11-25 00:03 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

猫の森には帰れないかもしれないけれど

猫の森には帰れない かもしれないけれど

生きていかなくては なりません

命を奪われるチャンスは 幾度もあったのに

生かされていたことに

今 やっと 気づかされているところです

どんな御顔の神様なのか わかりませんが

神様に 委ねる事しか 私には 術が ありません

猫の森には帰れない かもしれないけれど

猫の棲む街で 猫らに 導かれながら

まだ この世界で 呼吸が出来ているのです
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by chaiyachaiya | 2012-11-23 13:22 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

にんげんパズル、ねこパズル

長い時間をかけて このパズルは そろそろ 仕上りの日を 迎えようとしている

にんげんの 幾体もの屍を越えて

生まれながらにして 逃れようもなく 持たされていたピース

他者から 奪い取って 自らに与えたピース

何食わぬ顔をしたひとびとが

パズルのピースを その黒いポケットから 取り出して お望みの場所に嵌め込んだら

やがて怖ろしい絵柄が 浮かび上がる

その時 私のねこらが やって来て 肉球の横から 爪先を出し 私を見た

この忌むべきパズルを その愛おしい爪で 引き裂いてくれるのか

ありがとう 私のねこ達

けれど ねこらは 私の肩に飛び乗り

それぞれの爪を パズルではなく 私の頭の薄皮に刺し

くいっくいっ 力技で 私の頭の向きを 変えてしまった

ねこらに 視座を 変えられた私の目に パズルは まったく違う色を見せた

図案も てんで違う

優しい絵の具だけで出来た 懐かしい街並みの絵だった
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by chaiyachaiya | 2012-11-23 11:16 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

猫が助けてくれるから 1

絶望して、リビングのソファー島に横たわり、漂流している時

このままだと、このソファー島ごと、北極圏まで、流されていくんだろうな、と思いつつ、起きあがれない時

私の猫がやって来て、柔らかい肉球で、私の後頭部、頸、肩甲骨のあたりを、優しくノックするのです

それでも死んだ振りを続けていると、古びた毛布のような毛色の猫が、私の右耳の穴に、おもいきり、その鼻面を入れ込み

ふあ~っふあ~っ

鼻息を吹きかけてきます

私の唇の口角は、つい、緩み、上向いてしまうのですが、いつも、猫のくれる、愛の鼻息作戦との、根比べをしてしまいます

猫が助けてくれるから、日常のこちら側に、なんとか、いる事ができています
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by chaiyachaiya | 2012-11-21 22:57 | ねこの寝言 | Trackback | Comments(0)

鯉のぼりの夢を見る時 2

私のからだは、穏やかに波打つ岸辺の上空に、行き先もわからず、ほわりと浮かんでいた。どちらかと言えば、低空飛行だった。
漁を生業にしてる家々が、身を寄せあうようように、立っている。
浜辺では、次の漁に備えているのか、船や網、大漁旗を並べて、メンテナンスをしているようだった。
「あっ」
船の影に、あるものを見た私は、空中でバランスを崩し、傾きながら、地上すれすれの空を、滑るように泳いだ。大漁旗に混じって、鯉のぼりの一部が、私の視界に、真っ直ぐにはいってくる。
浜の砂の上にも、気取った食事の後のナプキンのように、ふわりくしゃり、鯉のぼりが点在している。
夥しい数の鯉のぼりが、全体像を示さぬ姿で、大きな目や鱗や鰭が、海岸線に沿って、どこまでも散らばっている。
「怖いっ。」
恐怖が頂点に達した瞬間、私のからだは、雲のまにまを飛んでいた。見降ろす地上の建物は、今度は、ダイスカットの冷凍ミックスベジタブルのよう。
ふと、周囲を見遣ると、ああ。

私は、無数の鯉のぼり達と、ひとつの方向に向かい、飛んでいた。
またしても、岡本太郎デザインの鯉のぼり以外の、仕上げには、川の清流で洗い清めたであろう伝統的なものや、箔を貼ったように鱗が輝くものなど、大小色とりどりの、鯉のぼり大戦隊、といった様子。
そのなかで、鯉というより、もはや鯨に属すほかなさそうな巨きさの、黒いボディが、私に悠然と身を寄せてきた。
その鯉のぼりは、真っ黒い総レースで出来ていた。背鰭や胸鰭、尾鰭は、同じ模様をした緑(水彩絵の具の、ビリジャン)のレース。
巨大ブラックレース鯉のぼりは、明らかに、意思を持って、私の傍を飛んでいる。
いつのまにか、怖さは、消えていた。
レースの隙間から、風が通り抜けているはずなのに、力学的にこういう状況はあり得ないはずなのに、その胴体は、何故かぷっくりと膨らみ、充実している。
ひょーひょー、きゅるきゅる、という風の音を、耳のすぐ側で聞きながら、絹や綿やポリエステルで出来た数多の鯉たち、それからレースで編まれた唯一の鯉とともに、高い空を、風に乗り、私はぐいぐい進んだ。

第二子がお腹にいた頃、こんな夢を見ていた。
どういったセクシャリティを持って、生まれてきてくれるのか、少し、訝しく思っていた。

やがて、男の子が、生まれた。とても、優しい子である。
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by chaiyachaiya | 2012-11-21 09:30 | 鯉のぼり | Trackback | Comments(0)


猫と日常と非日常
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