ふみちゃこ部屋



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骨、或いは私の愛の物語 12 おばさんがこの頃見た夢

久しぶりに、胸苦しい夢を見てしまった。

これまで、夢の中で、古代エジプトの女王の姿の巨大な張子人形になって、天井の高い特別展示室に聳え立っていたり、古い民家の奥の間の暗がりにひっそりと在る雛壇の女雛になっていたり、したことはある。
それは、いつも、孤独な時間だった。長い時間、孤独だったし、これからも、ずっとそうあり続けることを受けいれて、じっと微動だにせず、夢の中の私は、いた。
一瞬の夢の中で、気の遠くなるような時間を、永遠に似たものを感じていた。

ゆうべの夢では、私は独りぼっちではなかったし、とりわけ大きいモノになってもいなかった。
小さな小さな単位の命を生きている、密林の働き蟻だった。
何故だか、同じ働き蟻の恋人がいた。女王蟻でもなければ、所詮、恋人の蟻との契りの証しの新しい命を残せるわけではないことは、働き蟻の私達にはわかっていたけれど、お互いを思い遣る気持ちは、止められなかった。
彼と私は、大勢の働き蟻仲間達と一緒に、来る日も来る日も、二本の触角を頼りに、六本の脚を踏ん張り、湿度の高い密林で、自分達よりうんと巨きな、まだ息をしている碧いぷっくりとした幼虫や天鵞絨紫の羽の蝶を、まるで透明な柩に入れて運ぶような用心深いチームワークで、地下の巣穴まで運んでいた。
毎日の一瞬一瞬が、命定めの連なりだった。私は湿った朽木のぬかるみに脚を取られそうになったり、粘性のある蜘蛛の糸に絡まりかけたり、いつどの瞬間にお終いがやってきても不思議のない、命の時間を生きていた。
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by chaiyachaiya | 2012-02-21 23:15 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 11 消滅後のリトルピンクスワイン

聞いておくれ。

虹色のプチバルーン状の髑髏は、完璧に丸い虹色の私に語りかけた。

ああ、虹色髑髏さん、あなたは、私の嘗ての夢の主が焦がれていた、髑髏の紳士の係累 でしょうか、それとも、本体様でしょうか。
私のように、ぷかぷか、更にあなたは、その御首をカクカク、なんだか滑稽で、その分だけ、酷く哀しい姿にも思えます。
私は、もうすっかり、思い残すことなく、綺麗なまんまるになって、すべての世界のあわいに漂い、結構良い気分でいるというのに。
嘗ての夢の主の夢の中で見かけたあなたは、それは美しい骸骨の紳士でした。うっとりするほどです。あなたの美しさに並ぶものは、ボヘミア公 聖バーツラフの聖なる髑髏ぐらいだと思います。
夢の主だったあのおばさんが、私の姿を認識出来たのは、月の光の下で、一度っきりですけれど、彼女の夢の路地裏から、私は、あなた方を幾度も見ていましたよ。
可哀想な彼女は、一年に一度だけ、あたかも織姫と彦星みたいにしか、あなたとは会えていないって信じてるけれど、本当は、もっと、夢の中で、自在に空を飛んでいましたよね。二人で。
あなたは、彼女の夢から立ち去る時、彼女が、現実の時間をきちんと、なんとか生きられるように、夢に幻惑され過ぎないように、注意深く、彼女の夢絵巻から、自分の姿を消し、緋色のマントを翻して、消え去ることを繰り返していましたね。
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by chaiyachaiya | 2012-02-20 19:05 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 10 消滅後のリトルピンクスワイン

誰なのです?
私の頭の中で、似非ゴシックロマンの語り部のような、妙ちきりんなプロローグを始めたのは。

私は、誰かの夢の中で、一度は溶けた身。
膨らむ前のプチバルーン色の粘性のある液体になり、やがては何も痕跡を残すことなく消え失せたのでした。

今は、誰かの夢を出でて、空中至るところに、浮遊しています。
上手く膨らんだ時のプチバルーンのように、虹色の球体になって、世界を自らの球体に映して、ぷかぷかり、漂い浮かんでいるのです。

もう誰も、私が誰であったか、今どんな状態か、知る人はいません。
寂しくはないけれど、少しだけ虚しいような、虚しくはないけれど、やや寂しいような、或いはその両方のような、いっそのことどちらでもないような、おかしな気分がします。

そんな透明虹色な球体である私に、時おり、同じ球体とは言い難いかたちのものが、近づいてくることがあるんです。

透明な虹色の髑髏が、アタマをクラクラさせながら、飛んでいるんです。
何食わぬ顔で、です。
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by chaiyachaiya | 2012-02-11 14:34 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 9 王子様の話

季節の花々を愛でるように、生きることを、すれ違う人々を、愛していた気がする。
私には、花の名前など、どうでも良いことに思われたが、それは、罪な事だったのか。

領内では、毎年競うように季節を巡らせる花々に囲まれ、私は、幸せに暮らしていた。
隣国との危うい友好状態に、胸の底から、絶えず憂いの泡粒が浮き上がってきてはいたが、生きる歓びの方に身を預ける事を、私は選んだ。
父王もまだまだ若く、知力と武力に翳りはなく、その分だけ、私も、どこか呑気にしていられたということか。

長い時間を経ていることは、わかっている。反面、時間の流れなど、初めから存在していなかった気もする。
ただ・・・
何か、いわれのない場所で、甚だ不本意な姿で、私は、いっときだけ、かりそめの命を、生きている気がする。
奇妙なかたちで肉体を喪った者にしか、この感覚は、わかるまい。
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by chaiyachaiya | 2012-02-08 23:14 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 8 リトルピンクスワインの消滅

「やーやー、あなたの夢の話はいいから、私を見てよ」
リトル ピンク スワインは、虹色オーロラに輝く二股の蹄を私の腕に置いた。硬いのに、蹄は、うっすら温かい。
虹色オーロラは、微妙に色相を変え、まるで生きものの呼吸のリズムのように感じられた。
「なんて綺麗な蹄なんでしょう。よく密猟者の手にかからないでいられるね。」
またしても、噛み合わない会話の始まりだと思った。けれど、
「ああ、だって、私が呼吸するのを止めたら、虹色もオーロラ現象も終わっちゃうから。密猟者達が、この事を学ぶまで、仲間達がたっくさん、犠牲になったものよ。」
RPSは、深い溜め息をついた。
「ニンゲンて、なかなか学ばないのよね。学べないのよね。あなたも、そうなの? 学べないタイプだっていう事?」
「は、へえ・・・、何、何を、ええと、まあ、事態ののみこみは、遅いタイプだったのだって、最近気づいたりはしてるけれど、しどろもどろ」
「私達にとっては、同じことよ。美しい蹄のために殺されるか、食用として殺されるか。スワインじゃなくたって、ピッグ イズ モータル バイ ヒューマンビーイング。死は、夢の果てまでも追いかけてくるってわけ」
「私達、ずっと、くっついて、お互い側にいましょう。いいかしら」
薄桃色の豚が、急に愛おしく思えてきた。理由は、よくわからない。意志の疎通が、それほど出来ていたとも思えない。というより、ほとんど成立しちゃいなかった。なのに、今、この小振りな獣を抱きしめたいのだ。
「触っちゃ駄目えっ」
矢車草の花色の澄んだ瞳が、私に訴えた。
遅かった。
私の右の手のひらは、もう、触れてしまっていた。
ああ。
縁日で買ってもらった綿あめが、夏の湿度と温度で、表面から、透明なねっとりした液体に変じていくように、月の光りの下、リトル ピンク スワインは溶けはじめた。
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by chaiyachaiya | 2012-02-08 20:43 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

ジュヒの女優修行

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決心したわ。女優になる。目指すは、役幅の広い演技派よ。


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本当の美人じゃないと、化け猫役は務まらないわ。


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「家政婦猫のジュヒは見た」。自らの美貌に溺れず、演技にさらに磨きをかけるの。


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でも、続く深夜ロケ、所属事務所とのトラブル。日々蓄積される疲労。倦怠感。またたびも、もはや効果なし。


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家猫は、寝ることにした。ちゃんちゃん。
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by chaiyachaiya | 2012-02-05 23:50 | | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 7 おばさんが昔に見た夢

いや、いや、これから記すほうが、最初に見た夢だった気もする。

それは、こんなの・・・。
・・・夜中にふと目を開けると、いつも寝ている和室の竿縁天井の真ん中に、般若の面が張りついていた。
そして、その般若面は、父親の声で、私を叱咤しはじめた。怒りに充ちた唸り声は、決して私が許されることはないのだ、と知らせている。
幼児の私は、縮みあがった。
何を指摘され、どう叱られたのか、全く憶えていないけれど、般若の声が自分の父親だということで、どこかほっとした半面、父が、あの恐ろしい般若面と何らかの関係を持っている、という事態に、衝撃を受けてしまった。
飛んで逃げるしか、術はない。そう感じた。
けれど、蒲団に固定されたまま、私は、身じろぎひとつ出来ない。
飛べないことの口惜しさだけが残る夢となった。

テレビの映像か、或いは近所の和菓子屋さんの客間の壁に掛けられていたのか、初めて恐い顔をした面を見た午後に、父親に酷く叱られたかして見た、わかり易い夢だったのかもしれない。
般若というものが、女の性に属するものだとも知らず、恐いお面イコール怒ってるお父さん、の図式の中で見た、幼児らしい悪夢といったところだろうか。

それからのならいは、こうだ。
さあ、飛ぶぞ、という強い意志を持って、幼い私は、離陸するのだが・・・。足裏が、地面から離れ、いよいよ本格的な飛行体制に入ろうとしたとたん、ごつん、と頭にぶつかる物がある。
竿縁天井だった。
晴天の見渡す限りの砂漠が夢の舞台で、空の上の雲の影も、蠍の影すら動かない何もない大地のはずなのに、和室の竿縁天井が、私の飛行の邪魔をする。
懸命に走って場所を移動し、抜けるような青空の下、清々しい気持ちに切り替えて再び飛んでも、ごつ、と竿縁天井が、塞いでくる。その瞬間、飛ぶ前までの無限の青空は、見渡す限りの竿縁天井にとって変わられている。それを、延々と繰り返す。
堂々と、悪夢の範疇にあるひと時。
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by chaiyachaiya | 2012-02-03 23:55 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)

骨、或いは私の愛の物語 6 おばさんが昔に見た夢

まあ、いろんなシチュエーションで、飛んだこと、飛んだこと。

ああ、多分、これも夢の中だ。
いったい私は、何処の誰に向かって、夢自慢を始めたのだろう。

人生における、夢の内側での、初飛行。

私が、その夢を見た頃、日本という国に、アイドル歌手、という概念も、存在も、なかった。
アイドル歌手の起こりは、幼児の私の夢の中でだった、などと、時々思ったりしている。

その夢の映像は、何十年経っても、鮮明だ。
・・・茶色い小さな惑星で、歌謡ショーが開かれていた。観客は、白地に紺の模様のゆかた姿のお相撲さんばかり。髷を結った太い人びとで、会場は息苦しかった。小さい私は、一人で そこになんとか居場所を見つけ、歌謡ショーを見あげている。
ステージでは、楽団を後ろに、小さめな顔をした手脚の細長い少女が、スポットライトを浴び、レモン色の段々フリルのミニドレスで、膝屈伸を交えたステージアクトを繰り返し、下手な歌を歌っている。
ゆかた姿のお相撲さん達は、楽しげに犇いていたけれど、見あげている私と同じに、歌っている少女も、ちっとも楽しそうではなかった。
ああ、あのお姉さん、くるくると、操り人形のように、回転したり、辛そうで堪らないな。
強く感じた瞬間、幼児の私の身体はぶわりと浮き上がり、一気に大気圏ぎりぎりまで上昇し、その惑星を俯瞰していた。その星はいかにもべったりと茶色く丸くて、スカラベが転がす、それのようだった。
あの小さい惑星に残してきたアイドル少女歌手は、その後どうなってしまったのか、その朝の目覚めは、良くなかった。
そんな胸苦しさのある夢ではあったけれど、夢の中で飛ぶことを、幼児の私は知ってしまった。
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by chaiyachaiya | 2012-02-02 22:30 | 骨、或いは私の愛の物語 | Trackback | Comments(0)


猫と日常と非日常
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